- 「子供がゲームばっかりしてるけど、悪影響じゃないのかな?」と心配している子育て中の方。
- 「きちんとデータで裏付けの取れている子育て論を知りたい」という方。
テレビの教育評論家の意見を聞いているとよく出てくるセリフに、
「テレビゲームは子供に悪影響」
っていうのがありますけど、あれって疑問に思いませんか?
われわれの世代は少なからずテレビゲームに触れて育った世代だと思いますが、ゲーム大好きでも真っ当な人はたくさんいますよね?
この記事では、そんな疑問を解決する一冊を紹介します。
この本は、根拠のない教育論を「科学的根拠のあるデータ」で白黒つけている本です。
現役のエンジニアであるわたしもひとしきり読みましたが、エンジニア目線でも納得の内容でした。
それでありながら読みやすく、専門知識がない人でもスラスラと読めるように書かれています。
「ゲームは悪影響なのか?」というテーマについても触れられているので、この本の内容を紹介しつつ解説していきます。
目次
はじめに 科学的根拠のあるデータとは?
本題に入る前に、
「科学的根拠のあるデータ」ってなんなの?
という疑問を解決しておきましょう。
数値で示すこと
まずはこれです。
科学的根拠のあるデータは全て、きちんと数字で示されています。
例えば、
毎日15分間〇〇したグループは、しなかったグループと比べて期末試験の得点率が6.3%上昇した。
というのは数値で示された例です。
逆に、
毎日15分間〇〇してる子供たちの方が、経験的に成績がよかった。
みたいなテレビ番組のコメンテータのコメントは、数値で示されてない例です。
なんで数値化されてないとダメかというと、「良い」とか「悪い」っていうのは人によって変わるからです。
もともとテストで100点を取っていた人がたまたま80点を取ると「悪い」になりますが、もともとテストで30点しか取れなかった人がたまたま80点を取ると「良い」になります。
なので、数値で書かれていないと信用できないんですよ。
こういう話をすると、
教育を数値で計ろうとするなんてけしからん!
という人が一定数いるのですが、わたしから言わせればそんなのただの怠慢ですね。
いかに数値化できる特徴をみつけて定量的に評価するかが科学なのです。
因果関係を明らかにすること
次に大切なのが、因果関係を明らかにすることです。
これは二つの関係ありそうなデータを見つけたときに、単なる相関関係なのか、それとも因果関係があるのかをはっきりさせることです。
因果関係というのは、「Aが原因でBが起こった」というように原因と結果が結びつく関係のことです。
それに対して相関関係は、「AとBが同時に起こった」というように原因と結果が関係ない場合も含みます。
例えば、「ゲームをする子供は成績が低い」という仮説があった場合、
因果関係:子供がゲームをすることによって成績が下がった。
相関関係:成績の低い子供はゲームを好むことが多い。
という二つの結論のどちらが正しいのかをはっきりさせる必要があります。
本題 ゲームは悪影響なのか?
ここからが本題です。
「ゲームは悪影響なのか?」という問題について、この本では厚生労働省の統計データ「21世紀出生児縦断調査」を用いて結論を導いでいます。
参考リンクはこちら。
ゲームをやめさせても学習時間には「ほぼ」影響なし
データを分析した結果、ゲームを1時間やめさせると、男子の勉強時間が最大1分52秒、女子の勉強時間が最大2分42秒増えることがわかったそうです。
要するにほぼ影響なしです。
ゲームの影響はゼロではないですが、ゲームをやめさせたところでネット見たりして結局勉強しないわけですね。
ゲームをしても暴力的にならない
これは本書の著者の調査ではなく、ハーバード大学の研究結果が引用されています。
参考文献の欄に書かれているのはこちらの本ですね。
Grand Theft Childhood: The Surprising Truth About Violent Video Games and What Parents Can Do
その研究成果によると、ゲームは必ずしも有害ではないと明らかにされています。
むしろ、ロールプレイングなどの複雑なゲームはストレス発散につながり、創造性や忍耐力を養うのにいいとしています。
ゲームの中で暴力的な行為が行われていたとしても、それをリアルでやろうと考えるほど子供はバカじゃないってことです。
ただし、やりすぎは良くない
とはいえ、無制限にゲームして良いというわけではありません。
1日2時間を超えると、子供の発達や学習時間への影響が飛躍的に大きくなることも明らかになっているそうです。
そりゃ普通に考えて2時間も座りっぱなしですから、何かしら影響でるでしょうね…
何事もやりすぎは禁物です。
ただ、これに関してはむしろゲームやりまくるのも一つの道かなと思います。
最近は動画配信サービスでゲームのプレイ動画を配信するのも人気ですし、AIやロボットの普及で人類の仕事が減れば娯楽産業が伸びると予想されます。
あくまで、「勉強させたいならゲームはほどほどにしておきましょう」という意味ですね。
結論 「ゲームは悪影響」は単なるイメージ
科学的根拠のあるデータを見ることで、ゲームは子供にほとんど悪影響を与えないことがわかって頂けたでしょうか?
「ゲームは悪影響」って、単なるイメージだと思うんですよね。
ちょっと前の世代では「ロックは不良が好む音楽だ」とか「バイクは不良の乗り物だ」みたいな感覚あったじゃないですか?
あれと似たような理屈で、悪影響というイメージが一人歩きしちゃったんでしょう。
「ゲームは悪影響なのか?」というテーマ以外にも、こんなテーマについて書かれています。
- 子供はご褒美で釣ってもいい?
- 褒めて育てた方がいい?
- 少人数教育は効果的?
- 教育にはいつ投資すべき?
- 幼児教育の重要性
なので、子育て中の方にはマジでオススメします。
というか読まないと損してます。
根拠のないデタラメな教育論に振り回されないためにも、ぜひ手に取ってみてください。